京都を冷やそう

京都の熱帯夜すでに30日超え

 令和7年も令和6年に続き、記録的な暑い夏となっています。中でも京都に注目です。8月に入った時点ですでに熱帯夜が30日を越えてしまったと、京都新聞が報じています。昨年の夏は観測史上初めて、猛暑日も熱帯夜も京都で50日を越えたと言いますが、これは日本で初めての記録だそうです。
 考えてもみてください。日本では四季が平均して訪れ、それを背景に日本文化が長い間育まれてきました。四季ー春夏秋冬ーはおよそ3ヶ月ずつ。夏の中でも、初夏はすがすがしく、晩夏には暑さが残るものの秋の気配が朝晩感じられる。つまり初夏や晩夏には熱帯夜はほとんどあり得なかったわけです。熱帯夜は盛夏にしかない。そう考えても良いとすれば2ヶ月に届こうとする熱帯夜の数はあり得ないことになります。そして令和7年の今年には猛暑日と熱帯夜のどちらも、京都で30日つまり一ヶ月を越え、これは昨年を上回るペースであるそうです。何と言うことか!! 日本伝統文化の中心を自他共に認める京都から、日本文化の根幹である四季という自然が失われつつあるのです。
 京都の夏が暑いのは昔からです。盆地ですから日中の温度は上がりやすい。だけど日が落ちると、海沿いではないため急速に気温が下がります。夏の夕涼みの文化が京都を中心に広まった所以でもあります。宵山・宵宵山の京都の人の浴衣姿は、伝統的な文化の一コマでした。
 京都新聞でも指摘されているように、熱帯夜が増加したのは、近年エアコンなどで人為的な排熱が増加したためであることは、疑いを入れる余地はありません。盆地ですから、内部で発生した熱はこもってたまりがちになります。東京や大阪などのほうが、人為的な廃熱が格段に大きいのですが、熱は拡散されやすいのですね。
 人為的な排熱による異常現象は、二酸化炭素増加によるものとは区別しないといけません。人為的な排熱増加は、ヒートアイランドの原因の一つと考えなければ対策を誤ります。
 グローバルな温室ガス効果による温暖化と違い、ヒートアイランドの原因である土地の人為的な排熱を減少させるのは、その土地で上手に考えれば、可能であるはず。京都で効果的に、人為的な排熱を押さえるすべを考え、それを実行していきましょう。
 そのためにはエネルギーの性質から出発するのが一番の近道になります。ここでエネルギーの性質を書いてみますと

  • エネルギーは変換される
  • 変換されてもその量は変わらない
  • そして最終的にはエネルギーはすべて熱になる

でした。これを当てはめると、最終エネルギー消費とは、エネルギー消費を行うその場所で、消費されるエネルギーのことですから、京都で消費される最終エネルギー消費は、そのまま京都で発生する人為的な熱エネルギーの大きさを与える、ことになります。

最大の人為的排熱は自動車から


 京都での人為的な排熱は、夏は家庭や第三次産業のエアコンの為に増えることは想像されます。しかし、それ以上に自動車の排熱が大きいのです。親ページで示したように、運輸部門の最終エネルギー消費は、家庭や第三次産業での最終エネルギー消費を上回り、その中で石油製品の消費は98%に上るからです。特に暑さを避ける為にエアコンの効く自動車で、お中元などの買い物、あるいは京都観光を行えば、それは間違いなく夏の日の最低気温上昇を招きます。自動車で消費されるエネルギーは、すべてその場で熱エネルギーに変るのです。消費されるガソリンは、結果的に同じ量のガソリンが燃焼するのと同じだけの熱エネルギーを発生させます。これが上に述べたエネルギーの性質です。自動車のエンジンをかければ、消費するガソリンや灯油など燃料が燃焼すると同じ量の燃料がそこで燃えていると思わなければなりません。あなたがガソリンを一日五リットル京都盆地を走行することで消費すれば、あなたは一日五リットル京都盆地で燃焼させていると同じことになります。五リットル消費の人が毎日一万人いれば、京都盆地で毎日五万リットルのガソリンが燃焼されているのと同じになります。京都で毎日大火災が起きていると同じなのです。夜も昼もほぼ見境無く。これでは特に夜の気温が上がっても不思議はないでしょう。
 え、ガソリンを一日平均で五リットル消費する人は、よほどの金持ちしかいないだろうって? そうかな? 今ガソリン暫定税率廃止が、政治的な大問題となっています。ガソリン暫定税率はリットル当たり25.1円だそうです。一日五リットルで、税金は一日百円ちょっと。これをどう考えますか? 金持ちに一日百円ちょっとの税金を減税させるために、日本の政治家は侃々諤々の議論をしているの?
 京都盆地で大量のガソリン消費を避けるには、京都市民が納得した、京都の行政を行うことが肝要です。
 まず第一に夏のマイカーの利用を減少させることです。ここにもLRT導入の必要性が生じます。何故ならLRTの最終エネルギー消費は格段に小さく、したがって人工的な排熱を極力抑えることが出来るからです。また夏場の京都ナンバー以外の自動車の京都への侵入は、極力抑えてもらう方策を講じることです。自動車を減らす必要があるのですが、そのためには町の構造を歩きやすく、また一方電車網を充実させなければなりません。
 運輸部門でのエネルギー消費の大きさ、そしてその中での石油製品の占める割合は次のバナーをクリックしてみてください。

 さらには第三次産業へのソーラーパネル及び電池利用を促進します。都市に設立できる自然エネルギー供給装置はやはりソーラーパネルでしょう。そしてそれは将来的に変わらないでしょう。京都は低層階ビルが多い。言い換えれば屋上に敷設するソーラーパネルが、その建物の消費エネルギーの大部分をまかなえる可能性が大きいわけです。ソーラーパネルからの電気も、もちろん消費されると熱エネルギーに変りますが、ソーラーパネルの電気は、もともとその場で熱エネルギーに変る割合が大きい太陽エネルギーを使って生成されますから、外部からの発電での電気エネルギーよりは、結果的に熱エネルギーの発生を減じていると考えられるからです。
 150年前に琵琶湖疏水で京都に地域自然エネルギー産業革命を提唱した先進的な町京都の伝統を未来に生かすためにも、京都に戦略的なLRT導入を推進し、持続可能社会創設のリーダーたる証を、京都から発信しようでは無いですか。