東京都の消費エネルギーをソーラーパネルで賄えば?

東京都の消費エネルギーをソーラーパネルでまかなおうとすれば?

 何かと話題を振りまく癖がある小池都知事ですが、最近は世界情勢に圧倒されて、話題を提供するのはあきらめたのでしょうか? 話題提供ではプーチンには勝てないのでしょう。京都にまで届く話題は聞えてきません。それでも一つ気になる話題がありますが、あまり人々は気にしていないようです。全国ニュースでは取り上げられませんから。言い換えれば、日本のほとんどの人が、それって何の話と聞き返すでしょうし、全く興味ないとしか反応しないでしょう。
 それは新築の家の屋根に、すべてソーラーパネルをつけることを義務化するという話です。東京でエコを標榜する人達は賛成するかも知れませんが、地方では何それってです。そして私はまた小池知事が馬鹿なことを言い始めたと思っています。この人はクールビズで有名になった人ですが、キャッチコピーで物事がうまく行った例がありません。クールビズで日本が(東京の人が)頑張ったつもりになった頃、日本のCO2排出はほとんど変化がありませんでした。一方でアメリカでさえ、ドイツ等に並んで、CO2削減が進みました。そう見ると、東京って本当に世界のど片田舎ですね。クールビズのかけ声で、CO2削減が進んだと錯覚したわけですから。それ以前はドイツと比べて日本のほうが、CO2排出量は少なかったのですが、このころドイツと日本は逆転し、今やCO2では日本は悪者扱いされています。
 今回の発想も東京の家の屋根にソーラーパネルをつければ、あたかもそれで東京の消費エネルギーをまかなうことが出来るかのような単純な発想です。
 仮にありとあらゆる場所で、東京にソーラーパネルを敷き詰めたら、東京で必要とされるエネルギーはまかなえるのでしょうか? 東京都はそのような概算をやったことがあるのでしょうか? 東京都で新築の家屋のすべての屋根に(平均何平米の家屋が毎年建築されているか)、ソーラーパネルを置けばどの位のエネルギーが得られるの? これは、東京都で新築の家屋数や、家屋面積の平均値など、東京都では当たり前に解っている数値で計算できるはずですが、そのような値は東京都は発表していません。簡単に計算できるはずの数値を、公表しないまま新しい政策を発表する、これが健全な民主主義と言えるのでしょうか。東京のマスコミは、新築の屋根にソーラーパネルを義務づけたら、どのくらいのエネルギーが得られて、それは東京の消費エネルギーの何%なのか、どうして都に対して公表を求めないのですか。東京をそのままにして自然エネルギー導入促進を進めたら、つけは田舎に回ってきます。都の行政と都のマスコミは、地方の反応を怖がって公表しないのかな?一票の格差を細かく気にするなら、このような都のデータを都内だけではなく、全国に発信しなければ。
 ここでは東京都のデータが無くても、日本人なら誰でもすぐ確かめられる値を使った計算をしてみましょう。あえて計算を単純化して、東京都で人々が消費するエネルギーを、すべてソーラーパネルでまかなうとすれば、どれくらいの面積が必要かを、小学生でも解る計算で、求めてみます。

ソーラーパネルが造るエネルギーは?

 ソーラーパネルは、降り注ぐ太陽エネルギーを、電気エネルギーに変える装置です。そしてそこには厳然たる法則が働きます。エネルギー保存則です。降り注ぐ太陽エネルギーより大きな電気エネルギーを、生成することはできません。さらには太陽光は非常に幅が広い電磁波からなっています。可視光が一番多いのですが、幅広い紫外線と赤外線からなっています。ソーラーパネルのメカニズム上、太陽エネルギーの10%ほどしか、現状では電気エネルギーに変わっていません。つまり降り注ぐ太陽エネルギーの10%を電気エネルギーに変えています。言い換えれば太陽エネルギーがどれだけ降り注ぐか解れば、得られる電気エネルギーが解るわけです。

ソーラーパネルが生成する電気エネルギーは平均して平米当たり20W

 太陽定数という数字があります。これは何も遮る物がない宇宙空間で図った太陽エネルギーの値です。人工衛星などを使って実測されています。
 面を太陽光に垂直にして、真っ正面から太陽エネルギーを浴びるようにします。そうすれば降り注ぐ太陽エネルギーは平米当たり1370Wという値になります。これは地球全体で見ると大変大きな値であり、一年間に地球に降り注ぐ太陽エネルギーの量は、一年間に全人類が消費する化石燃料の一万倍以上になることが解ります。このように地球全体で考えれば、人類は充分なエネルギーを太陽から貰っていることになります。
 一方あえてソーラーパネルにだけ頼って、東京都の面積でどれくらいのエネルギーが電気として取り出せるかを考える為に、太陽定数をもとに平米当たりの生成電力を計算してみましょう。
 ソーラーパネルは地上に固定します。太陽がいつも当たっているわけではないことはすぐわかります。地上で観測すると、降り注ぐ太陽エネルギーの平均値は1370の1/4になります。この1/4という値は、球の面積と円の面積の比から来ます。直感的にはこう考えて下さい。夜には日が全く当たらない。これで半分になる。さらには太陽光は斜めから差し込むし、朝夕は特に傾斜が酷くなる。これでさらには半分になる。
 さてこの1/4という値は、地球に全く空気がないとしての値です。実際は空気があるので、幾分かは常に減少しますし、曇った日雨の日などを考えれば、大きく減少します。あれやこれやで、ソーラーパネルに当たる太陽エネルギーは平均して平米当たり200W、ソーラーパネルのが生成する電気は平均して平米当た効率を10%と考えれば、ソーラーパネルの発電量は平米当たり20W程度と考えられます。これは私の監修した「エネルギーって何だろう」という本にも値を載せて置きました。

その他に計算に必要な諸量

その他に今回の計算に必要な諸量を見ておきましょう。
 まず我々日本人は、一人当たりどれだけのエネルギーを消費しているかですが、年によって多少の変動はあるものの、最終エネルギー消費で平均一人当たり3000W程度を使っています。これは電気だけの値ではなく、ガス、石油製品など加えた値です。脱炭素は電気だけでは出来ません。
 また多くの人が知っているように東京都の人口は約千四百万人です。
 一方都の面積を知る人は少ないでしょうが、私は次のような想定で、都や日本の面積のおおよそを考えることにしています。
 日本は細長い国です。縦が長く横が短い形です。東京と大阪の距離が約550キロメートル。そして日本の縦の長さはその4~5倍ほど。つまり2000km強。一方巾はその1/10ほどの200km。そこでアバウトに考えて日本の面積は四十万平方キロ(200×2000)。
 一方東京は横長ですね。横は100km縦はおよそ20km、つまり面積は2000平方キロ。どちらも調べると正確な数字は解りますが、大まかな見当をつけるには結構充分な考え方です。ちなみに現在ウクライナが頑張って、ロシアに占領された地を取り戻していますが、今年の秋最初に取り返した面積をゼレンスキー大統領は2000平方キロと発表してます。ほぼ東京都の面積を取り戻したのですね。
 そういうわけで、一人平均3000W、都の人口千四百万人、都の面積2000平方キロを使っての計算です。

東京都民の平均消費エネルギーは、東京都にぎっしりソーラーパネルを敷き詰めたときの発電量とほぼ同じ

さて計算をして見ましょう。東京都民が消費するエネルギーは平均してどのくらいか(仕事率Wで計算)

    一人当たり  3kW ⇒  千四百万人では四千二百万kW  ⇒ 約 4000万kW
日本の最終エネルギー消費の平均値は、一人当たり3000Wですから、3kWです。アバウトに一桁の計算値を出しているので、4200⇒4000と近似します。

一方で都全体にソーラーパネルを敷き詰めた発電量は

    平米当たり20W ⇒ 平方キロ当たり2万kW ⇒ 2000平方キロで4000万kW
平米当たり20W。一平方メートル当たりを一平方キロあたりになおします。一平方キロは一平米の千倍の更に千倍。これを単位Wを千倍のKWに、そして数値20を千倍の2万に置き換えると、上の左の変換になります。一平方キロ当たりの値がでました。それを二千倍します。

つまり東京都に隙間無くソーラーパネルを敷き詰めると、計算上都民が必要とするエネルギーをまかなうことが出来ます。都の職員がこんな簡単な計算をするとは思えませんが、都知事はひょっとしてやったのかな。
 でも隙間無くですよ。貴方の家も、貴方の職場も、道路も公園も、高層ビルもソーラーパネルの下になります。言い換えれば東京上空をすっぽりソーラーパネルで覆えば、都民の必要エネルギーの量が得られると言うわけです。都民の皆さん、是非エネルギーの地産地消、頑張ってやって下さいね。そういう方向の第一歩だとすれば、小池都知事、引退前に素晴らしい方向を打ち出しましたね。
 そして首都圏の他県の住民の皆様。東京の空はソーラーパネルで覆い尽くされます。でも良く知られたように太陽エネルギーは気ままです。大規模な蓄電装置が必要です。その為の土地は東京にはないので、首都圏に置くのでしょう。そうならないうちに首都圏を脱出しましょう。大都市集中は、自然エネルギーとは恐ろしく相性が悪いのです。