高層ビルの巨大エネルギー消費の理由

実際に某高層ビルにあったパネル

実際の高層ビルにあったパネル。ビルは30階建て。細長いよくある通常のビルだった。

上の図は東京で2014年に取った高層ビルの2階に置かれたパネルの写真です。最近よく見かけると思いますが、現在はビルの屋上に太陽光パネルを置いてあることが多く、そのパネルの発電量を表示する建物がごく普通に見られます。しかし通常誰も気が付かないと思いますが、その建物での消費電力を、正直に表示する建物は皆無と言って良く、私はこのビルの例しか見たことがありません。不思議とは思いませんか?こんどそのようなパネルを見たら、是非気をつけて見て見てご覧なさい。現在はこのビルも表示を止めています。
 上の表示を見てみましょう。まず右上を見て下さい。9日19時現在とあります。写真のデータを確認すると2012年12月9日とありました。原発事故の次の年です。東京でも節電に大変興味が持たれていた頃ですから、このビルを管理する団体がパネルで表示することを選んだのでしょう。19じですから、すでに日は落ちて、その日のソーラーパネルの発電は終わっています。右下に9.8kWhとあります。一方もっと大きな表示で、18時~19時の消費電力(正しくは消費電力量)が2500kWhとあります。一日の発電量の255倍もの電気エネルギーを一時間で消費していることになります。
 この表示は学生を連れて行ったりして、何回も見たパネルです。数に変動はありますが、一日の発電量はおよそ10kWhである一方、一時間の消費量は2500~3500kWh、夏の暑い日には4000kWhを越えている日もありました。

何故高層ビルは電力の消費が激しいのか?

何故高層ビルはエネルギー消費が大きいのでしょうか? それは20世紀の「進歩」が詰まっているからです。
まず第一に高層階に上り下りしなくてはなりません。位置エネルギーの変化が生じます。高層ビルは総床面積が広く、多くの人を呼び込むことが出来ます。多くの人の位置エネルギーが絶え間なく変化すれば、エネルギー消費が増えてもおかしくありません。
 第二に多くの人が機密性の高い建物に活動すれば、空気が悪くなり、強い換気が必要となります。換気してCO2やごみを取り除き、湿度も下げなければならないでしょう。
 第三に温度調節です。高層ビルは総床面積に対して総表面積が大きいので、中で活動する人数の割に、断熱性が非常に低くなります。夏エアコンがせっかく室内温度を下げても、広い表面積(壁)から、外の熱が容易に入ってきます。冬も同じような現象が起こります。
 夏には更に悲惨なことになります。多くの高層ビルは、ガラス張りの窓を広く取っています。ここから太陽の光と共に太陽熱が、思い切り入ってきます。エアコンがなければ、夏の室内温度は、外の気温より高くなるでしょう。適温に保つには、それだけエアコンが電気を食らうことになります。
 将来エネルギー価格が高騰すれば、莫大な量のエネルギーを食らう高層ビルは、テナントのなり手が減少するでしょう。空室があっても建物内部を同じ適温に保つには、基本的には同じ量のエネルギーを消費します。すると更に部屋に割り当てられるエネルギー料が高騰することになり、制御不能になりかねません。高層ビル群の将来に私は非常な危機感を覚えています。でも都会達はこれからも高層ビル建築を続けるようです。壊滅的な打撃を受けなければ解らない人類の宿命ですかね。バブルの崩壊という危機を経験した日本人は、古代ユダヤ人の古典的危機、バベルの塔の崩壊を見るのですかね。
 百年経って高層ビル群の取り壊し作業が続くような事態にならねば良いのですが。