原油三万五千PJ ホルムズ海峡冬景色

 「津軽海峡冬景色」と言っても、若い世代にはピンと来ないでしょうね。まだ青函連絡船があった時代ー半世紀前ーの歌ですから。でもあなたのご両親、あるいはおじいさんおばあさんはよくご存じのはずです。上野(東京)発の夜行列車に詰められ一晩過ごした後(もちろん新幹線ではありません)、青森の駅に到着し、そのあと港まで歩いて函館行きの連絡船に乗る。そういう光景がわずか半世紀前までは当たり前でした。 それは北海道から東京への「移民」には当たり前でしたし、その家族・友人・関係者にとっても日常生活ではなくとも、日常生活を支えるための、なじみ深い光景でした。青函トンネルは1988年開通ですから、バブル期最後の日本での快挙でした。
 津軽海峡冬景色は若き日の石川さゆりが歌って大ヒットした演歌です。♪上野発の夜行列車降りたときから♪青森駅は雪の中♪北へ帰る人の群れは誰も無口で♪海鳴りだけを聞いている♪私も一人♪連絡船に乗り・・・。歌詞を見ないでも書ける私はもう78歳。
 その歌の替え歌を見事に作った清水ミチコは、ほんの一時期でしょうが古い世代のネットファンの注目を集めたようです。私もネットで見てこれはすごいと思いました。トランプ大統領の愚行を、同時代に茶化すことによって怒りを素直にたたきつける、まるでヒトラーを茶化したチャップリンのように、茶化すことによって純粋で素朴な怒りを表現したのです。
 思えばチャップリンを知らない人のほうが今の日本人には多いでしょう。映画初期の世界的な大スターです。イギリスからアメリカに移民したロンドンの「浮浪者」で、アメリカがグレートだと世界が認めていた時代のヒーローです。
 その茶化しを私なりに生かしながら書いていきます。
 トランプ大統領がイランことするから、中東地域からの原油輸出年間三万五千PJ(ピタジュール)がストップし、季節外れの「ホルムズ海峡冬景色」が展開されています。日本はこのうち五千PJほどの原油を、主として中東から輸入しています。トランプ大統領の「盟友」高市首相の顔でアメリカが石油を回してくれるだろうと期待しているのか、日本ではこの石油危機に対して、あまり心配をしていないようです。高市首相は戦後育ちの日本人の代表的人物と言えるでしょう。日本を第二次大戦で打ち負かしたアメリカはすごいと素直に認めているようです。高市さんはまさに戦後日本の庶民でしょう。だからたった今現在多くの庶民が支持をしています。
 ホルムズ海峡で起こっていること、それは一言でいえば石油危機です。石油供給が滞るという危機なのです。その危機の深刻さは、滞る石油流通量をしっかりと把握しなければ、判断を誤ります。その原則は庶民でもわかるはずです。その量は代替の方法でどれくらいカバーできるのか、それとも簡単にはカバーできない決定的な危機なのか。官僚に言いくるめられているだろう高市さんには分からなくとも、官僚をまず信用しないと考えなれている現代日本の庶民たちには、当然わかるでしょう。
 量を最初に書いておきましょう。世界中の原油産出量は年間19万PJ。需要と供給はほぼ均衡していますから、世界の原油消費量も年間二十万PJ弱。そのうち中東での産出は五万八千PJ、中東からの輸出量は三万五千PJ。確かに大きいですね。でもトランプのアメリカは三万五千PJを産出するが、更に一万五千PJを輸入、つまり原油五万PJほどを操ります。さすがグレートアメリカと思いませんか? 二十世紀以来アメリカは石油で世界をリードしてきた。80年ほど前、その石油流通をアメリカから遮断されたから、日本は戦争に突き進んだ。
 アメリカはただ一国で全世界の原油流通量の二十万PJ弱のの四分の一である五万PJを思うがままに操りながら、現在のアメリカはグレートではないとトランプは宣い、再びアメリカをグレートにすると言って、アメリカの庶民からの支持を受けています。そして原油を9千PJほどを輸出しています。日本の必要量の倍を供給しているのです。世界を馬鹿にしているのでしょうか。それともアメリカは神だから、四分の一では全く足りず、九十パーセント以上を支配しなくてはならないのか、安定株主の発想で。何しろ市場は神の手で支配されるという、恐ろしく不自然な発想を平気で指導的経済学者が宣う国ですから。
 エネルギーは安定株主のディールの材料なのでしょうか。そういう疑問が素直に湧き上がる。それがIEAのHPからわかる量です。
 もう少し深く世界の石油事情をIEA(国際エネルギー機構)のデータを見て考えてみます。

石油確保に向けて日本の動き?

 トランプのイラン攻撃から二ヶ月以上が経ちました。ホルムズ海峡では多くの船舶が通過できず、季節外れの「ホルムズ海峡冬景色」が展開されています。しかし高市政権はどういう訳か日本は安心して良いというメッセージを出したがっているようです。ホルムズ海峡問題が早急に片付き、中東からの原油輸入が早く再開できれば良いですが、長引いた場合は中東からの原油輸入に全面的に頼っている日本では、それは恐ろしく解決が難しい問題となるのは目に見えています。
 最近でも日本での原油を巡る幾つかの動きが報道されました。四月半ばだったでしょうか。アメリカ産の原油を乗せたタンカーが一隻日本に到着したそうです。ほぼ同時に二ヶ月分の石油を政府が放出するというニュースが流れました。一隻のタンカーが運ぶ石油の量など、二ヶ月分の石油から見たら、わずか一滴に過ぎませんが、それでも日本の人々は何となく安心の材料にしているのでしょう。また数日経った後今度はイランに通してもらったタンカーが一隻日本に到着したというニュースもありました。
 思えば米の備蓄放出で日本中が大騒ぎをしたのもつい最近のことです。米価高騰で保存米を政府が放出したとき、メディアも国民も大騒ぎをしました。今回は日本だけではなく世界的な石油危機だというのに、日本国民はただ高市政権が日本は大丈夫という発信をしているだけのことで、それを信用するのでしょうか? 何か日本を離れてみれば、とてもおかしな現象と見えるのではないかと疑いたくなります。米放出の時は皆ワイワイとうるさかったのに、今回の石油放出は皆冷静に見ている。この違いの理由を解りやすく説明出来る人がいたら聞いてみたいものです。高市さんは信頼できるからって? 歴代首相と比べて信頼できる理由はあるのでしょうか? 素早く動いてくれるって? それって本当?

ヴェトナム・オーストラリアは原油を輸出できるのか?


 ちょうどそう思っっていたとき、高市首相がヴェトナムとオーストラリアを訪れるというニュースが流れました。トランプにたいそう上手に取り入ったあとは、外遊のニュースなどほとんど無い高市首相ですが、このタイミングは当然石油確保なのでしょうね。そう思って人々はまたも安心の胸をなで下ろすのでしょうか?
 確かにヴェトナムとオーストラリアは、アジア太平洋諸国で希少な資源豊かな国です。アジア・太平洋地域と言うことで距離も近い。しかし今現在問題になっている原油に対してはどうでしょうか? 世界中がかつて経験したこともない石油危機を心配しているのに何故ヴェトナム・オーストラリアなのか、気になりませんか? どうして誰もが疑問を持たないのか? 
 私が考えすぎなのか。でも世界に広がる石油危機であることは、日本に伝わる海外の報道からわかるのですから、世界的な石油消費の流れの現状を知っておかなくては、その場しのぎの議論に過ぎないことは明らかです。ここではIEA(国際エネルギー機構)のデータを使って見てみましょう。

 文脈上石油に集中して説明しますので、図を大筋でご理解下さい。
 上記3図は、1990年・2010年・2023年における、アジア太平洋諸国全体で見た、全種類のエネルギー消費についてのSankey図です。アジア・太平洋を構成する国名は、この記事の下に書いておきます。図はIEAのHPから抜き出してコピーしたものです。三つの図のそれぞれで左端が一次エネルギー、右端が最終エネルギー消費を表します。色によってエネルギー種別が表示されます。石油は黒い色であらわされています。また色づけされた線の太さで、その年での相対的なエネルギー消費量が表されています。つまり表でよく見る割合(%)が、線の太さで直感的に表されているのです。
 左端(第一段)に表示される一次エネルギーは、上部にあるその国で産出されたものと(Domestic Production)、下部にある輸入によるもの(Imports)とにグループ分けされています。石油を表す黒い線をみると、三図のうち左にある1990年では、自国産出と輸入がほぼ同じ量であったのが、2010年・2023年では、だんだんと自国産出の線が細くなっています。実は自国産出が減ったのではなく、石油輸入がアジア太平洋諸国ではどんどん増えていったのです。原油自国産出量はそれほど変わっているわけではありません。
 一方三つの図で最も印象的なのは、茶色の線がどんどん増えていることでしょう。茶色は石炭を表します。アジア太平洋諸国全体で見れば、石油ではなく石炭が一番大切なエネルギーであるのですね。この主たる原因は何なのか? すぐ解るでしょう。中国です。1990年には鄧小平の中国が石炭を使って経済成長を始めたのを反映して、石炭の消費が中国で増え、したがってアジア太平洋諸国では石炭の消費が大きく増えました。しかし現在世界が陥っているのは石油によるエネルギー危機です。中国も石油を中東に大きく依存していますから、危機感を持っているはずです。しかしロシアからの石油を大いに期待しているでしょう。そういえば日本へもロシアからの運搬船が到着するとニュースにありました。アメリカも中東もロシアも、一隻ずつタンカーをよこして、日本に秋波を送っているようです。いや日本政府が高市さんの心配ないというメッセージを大切にして、さまざまな石油確保の方策があると、演出をしているのかな? それならタンカーが運ぶ涙の一滴は、石油大食漢に陥った日本の食欲を果たして満たすかのどうか、ちゃんと調べねば。

上の図は小さすぎるので、少し大きな図にしましょう。左の図は上の左端の図と同じ1990年のアジア太平洋諸国でのエネルギー消費を示したSankey図です。
 石油を左から右に追って行きます。自国産と輸入からの原油(濃い黒線)は第二段階で合流し、一部は分かれてそのまま最右下のExportへ流れます。この地域の国で確かに原油を輸出していた国があったことを示します。しかしその大きさは最左にある原油輸入量よりかなり少ないことが線の太さでわかります。
 原油の大部分はそのまま右へ流れ、第三段階を通過し色が変わって淡い黒になります。これは精製されてガソリンなどの石油製品に変わったことを意味します。ただしエネルギー保存則に従ってエネルギー量は変化しないので、第三段階の左右の線の太さは変わりません。
 この大きな流れは、輸入から来る石油製品に第四段階で合流し、第五段階の最終エネルギー消費各所に分かれて流れます。

 次に2023年のアジア太平洋諸国のエネルギー事情を見てみましょう。左にSankey図を示します。まず一次エネルギー全体が1990年の9万PJから29万PJへと、3倍以上に跳ね上がっていることに注目しなければいけません。これは主として中国と韓国の影響ですが、ここではそれを詳しく論じるのは止めておきます。
 石油だけに注目します。明らかに原油輸入が領域内の産出を大きく上回るようになりました。そして1990年にはあった原油輸出は、ほぼ消えてしまっています。輸出にも黒い線が一部向かっていますが、淡い黒が原油ではなく石油製品の輸出であることを示しています。アジア太平洋諸国からの、石油危機に対応できる大量の原油輸入はこの図から見ると望み薄なのです。
 IEA-HPのSankey図ではカーソルを当てると数値が出てくるようになっています。そこで原油輸出量を調べてみると、この地域全体で1990年には4543PJあった原油輸出は、2023年には1640PJに減少しました。原油産出量は1990年には13900PJだったのが、2023年には14800PJへと少し増えただけで大きな変化はみえません。

 これまでアジア・太平洋諸国全体で見てきました。残念ながら近隣諸国であるアジア・太平洋諸国では、原油輸入はあまり見込みがないのですね。
 ではアジア太平洋諸国であるヴェトナムとオーストラリアの事情を個別に見ていきましょう。同じSankey図から1990年の数値と2023年の数値を読み取って書いてみます。ヴェトナムでの原油産出は1990年の115PJから2023年には377PJに増加しましたが、原油輸出は111PJから117PJとほとんど変化なしです。一方原油輸入はゼロだったのが447PJに増えました。ヴェトナムは原油輸出国から輸入国に変化したのですね。近代化の流れでは、当然の変化ではないでしょうか。更に注目してほしいのは、輸出入される石油の量は、千PJ単位ではなく、百PJ単位です。百PJは日本の需要の1週間分にもなりません。
 一方先進国オーストラリアではもう少し複雑な動きがあります。原油産出は1215PJから747PJと減少、輸出は245PJから575PJへと増加、輸入は427PJから338PJへと減少しています。しかしこの資源大国は石油であまり商売を考えてないようで、石油製品は1744PJを輸入しており、原油輸入および輸出そして産出を上回っているのですね。このかなり大きな石油製品輸入は多くは中国からでしょう。原油が世界的に不足して、その結果石油製品が不足したとき、オーストラリアは当然原油輸出は中国に行うし、その見返りに石油製品確保と考えるでしょう。原油輸出を仮に日本に回してもらえるにしても、多くても百PJには届かないでしょう。もともとそんなに生産していないのですから。百PJは日本の一年分五千PJの2%です。
 一方オーストラリアは一次エネルギーとしての石炭と天然ガスは輸出用に大量に生産しています。国産エネルギーの内61%が石炭、31.5%が天然ガス、それに比べて原油は4%に過ぎません。天然ガスがこれだけあるなら、石油ももっとあるかもしれません。しかし探してまでもそれをやってくれと言っても、すぐには応じてくれないだろうし、特に石油時代を終焉させなければならない時代に、トランプ以外の国家指導者が、すぐに石油大幅増産に踏み切るかは解らないし、日本がそれを頼むのも長期的には良いのかどうか解らない。
 それらを考えると日本の原油必要量は五千PJ強ですから、規模から考えてオーストリアも石油の決め手にはなりえないでしょう。高市さんが何故この両国に今現在石油危機に面して訪問したかどうも解らない。
 民主主義国日本です。トップである首相の動向の目的は、トランプではあるまいし、場当たりであってはいけない。場当たり的に動くトランプは、明白にアメリカの価値を歴史的に下げています。しかし長い伝統を持った日本は持続可能社会に向けてその存在感を増すべき責任があります。そうでなければ千年規模の安定した国家運営を継続した国でありながら唯一の被爆国となり、また少なくとも半世紀も続いた戦争放棄という理想を掲げた平和憲法を保持した国の国民として、千年の未来に向かってどのように思いながら一生を終えるのか、つくづく心配になります。
 ヴェトナムもオーストラリアも、ホルムズ海峡封鎖が長引いても日本ほど困らないことは、データからも伺えます。しかしそんな国にこの危機の真っ最中自ら出向いて外交する理由はあるのだろうか、疑問です。ホルムズ海峡封鎖が長引いて、日本のエネルギー危機が国民誰の目にも明らかになったとき、この両国の政府が日本を助けたいと思っても、その力を持っていないことはデータから明らかです。
 一方アジア太平洋諸国が、太平洋に面する三大問題国アメリカ、中国、ロシアに対抗できる連携を持たなければいけないことも明らかです。中国とロシアが問題国であることは、日本でも広く知れ渡っていましたが、トランプはアメリカも問題国であり得ることを実証してしまいました。民主主義国ですから、トランプだけが悪いのではなく、アメリカ国民も問題国となる基盤を持っていると言うことです。アジア太平洋を取り囲むように存在する三大問題国に好き勝手な行動を起こさせないために、多くの国との連携は必要ですが、今現在ヴェトナムとオーストラリアを、わざわざ訪問する理由は何故だろうかと、いぶかしく思う日々を過ごしています。

 ちなみにアジア太平洋諸国とは、IEAのデータでは次の国の総和で表されています。

オーストラリア    バングラディシュ               ブルネイ          コロンビア             中国        台湾 香港        インド   
インドネシア 日本             韓国        北朝鮮    ラオス                 マレーシア             モンゴル ミャンマー            
ネパール             ニュージーランド         パキスタン        フィリピン シンガポール

 アジア太平洋諸国だけではなく。世界規模で見てみましょう。日本の原油消費量約五千PJに対して、アメリカの現在の年間の原油生産量は約三万五千PJ、原油輸入量は約一万五千PJ。自国産出輸入あわせて日本の十倍の量を毎年手に入れています。そもそも世界の原油生産量は2023年で19万PJです。アメリカは世界の原油の四分の一以上を一次エネルギーとして管理しながらまだ足りないとトランプに言わせています。輸入して囲い込んだ原油を更に輸出もしていて、原油の輸出量は九千四百PJ、石油製品の輸出量は九千七百PJ。どちらも日本の原油消費量の約二倍。
 1990年にはアメリカは原油を輸出していなかったことを全世界は記憶しておくべきでしょう。むしろ禁じておりました。世界一の生産力を誇る石油を、政治の取引の材料とするのは、太平洋戦争に至る前のローズヴェルトが日本に対してやったことから続いています。
 シェールオイルでアメリカの原油生産能力が増えました。しかしシェールオイルは初期投資が大きく、中東の石油以上に高価になります。トランプは当然シェールオイルを増産してディールのカードとしたいでしょう。そのためだけを考えれば、ホルムズ海峡が閉鎖されると、原油も高くなり、掘って掘って掘りまくり、売って売って売りまくれば、アメリカの貿易赤字問題解決に貢献できるでしょう。そうか1990年には石油輸出を禁じていたアメリカは、今や日本の年間必要量五千PJの三倍の輸出をしています。今年の石油危機を利用して、石油のサプライチェーンを変えて、自国のシェールオイルを増産させる、掘って掘って掘りまくることで、アジア太平洋諸国をアメリカの石油で支配する、そういう戦略なのか。
 一方ロシアの原油生産量は約二万二千PJ、そのうち半分が輸出され、原油輸入はなし。ロシアは「先進国」であることをやめ、資源国になって未来を切り開く道を選んだようです。昭和の時代に自明としてあった「先進国」の考えはくずれて、二十一世紀には「資源国」と「非資源国」の二項分類になるのでしょうか? もはや百年近く前になった先の大戦では、日本は先進国でありまた資源国でもあるアメリカに負けました。アメリカもロシアも四百年以上前には恐ろしくローカルな、「野蛮な」国であったと、世界史的には考えてよい国であったと思いますが。まるでtokyo-edoのように。芦が生い茂った原野に、移住民が何かの理由で移り住んだだけの地域だった。そのような国ー地域が、持続可能社会を自ら進んで考え出すのは所詮無理ではないかと思います。自らの地域のわずか四百年の発展史の延長で、プーチンもトランプも考えていることは、様々な行動からも明らかです。
 日本はこのまま考えなしに進んでいくと、気がつけば原油の大半を二十世紀冷戦の亡霊たるアメリカとロシアが握り、ガンガン自国ファーストを進めて、戦争を仕掛けまくる、恐ろしい未来が待ち受けているかも。まさにそれが二十世紀後半に、前半の時代の延長として恐れられた第三次世界大戦でしょう。
 老朽化した西欧近代という時代はプーチンやトランプという妖怪を生み出しました。そのような西欧近代を基にした現代は、乗り越えられるべき時代と考えようと私は思っています。
 そう考えると未来を開く思考が見えてきます。脱炭素を呪文のように唱えるのではなく、論理的に西欧近代が創り出した化石燃料時代を乗り越えていかなければならないと思っています、乗り越えるためには、もちろん世界中の平和と民主主義を愛し自分で考える力を持った人々の共同作業が必要であり、多様な文化の交流が必要でしょう。平和で持続的な地球世界の未来を考えるには、若い人たちの交流が欠かせません。日本の伝統的な文化は、画一的な西欧近代を乗り越えるために必要な柱の一本になるでしょう。そして日本伝統文化の中心であり続けた京都は、世界の人と交流の場として重要な役割を担い、そしてそのような京都を市民とお客様が協力して造るために、重要な交通機関の基、それが京都LRTであると考えています。
 交通の主たる柱を電車に変えて行く。それは何より現代社会が石油依存症を脱する為に基本的な作業になります。京都市民の協力で、京都にLRTを導入することを強く訴えたいと思います。下記に京都にLRTを敷設することの大切さについて書いた記事へのリンクを張っておきます。

原油三万五千PJ


 Sankey図をもっと大きく表示し、その読み方を解説した下記記事もお読み下さい。Sankey図から解ることを、世界規模で示しました。例えば今度のホルムズ海峡封鎖でストップした中東全域からの原油輸出量と、アメリカ一国の原油生産量がほぼ同じ量である三万五千PJなど誰が思います? でもちゃんとしたデータが、それを示していてSankey図からそれを読み取れます。全世界原油の19万PJの四分の一に当たる5万PJを、アメリカは自国産出と輸入で自国の思い通りにしています。中東はイラン、サウジアラビア、UAEを含めて五万八千PJを産出していますが、アメリカの産出量に等しい三万五千PJを輸出して、それを主たる経済活動としています。また中国は11万PJほどの石炭を消費しているのですが、石油も三万三千PJほど消費していて、その内二万六千PJほどを輸入に頼っています。これらのことをSankey図で調べれば、誰でも見ることが出来るのです。そのSankey図の読み方を、説明しているのですが・・・。
 二十世紀は石油を通じてアメリカが世界をリードする時代でした。その時代をトランプがアメリカファーストの精神で閉じようとしています。思えば二十世紀は誰もが認めるアメリカファーストの時代でした。それがファースト(第一位)でなくなることが多くの人に明らかになっているから、トランプはアメリカが一番でなくてはならないと、歴史の「偉大な」ピエロの役を演じているのでしょう。
 IEAのSankey図、自分で調べたらいろいろ面白いことが解りますよ。

2023年の原油の生産と輸出入の流れを大まかに表にしてみました。誰でもSankey図で確かめることが出来ます。表から大きな原油の流れが見て取れる気がしませんか?

地域原油生産(単位千PJ)備考
ユーラシア27内ロシア22
アジア太平洋15内中国7
アフリカ1511を輸出
中南米168を輸出
ヨーロッパ726を輸入
中東5835を輸出
北米(米、カナダ、メキシコ)52内合衆国35