パラダイムシフトという考えかたは、科学哲学者トーマス・クーンによって提唱されました。
私は持続社会への進展にはパラダイムシフトが必要であり、新しいパラダイムとして、琵琶湖疏水を企画し工事を指導した北垣国道の「地域再生可能エネルギーで地域産業革命を」という考え方が、未来を切り開く考えであるように思われます。
それを理解していただくために、まずクーンの科学革命の核心である、パラダイムシフトをご説明しましょう。
クーンによると科学の進展はただひたすら直線的に進むのではないといいます。それではどういう進み方をするのでしょうか。
クーンによると、科学のある分野では、その分野に共有される基礎的な考え方があり、それをパラダイムと呼びます。その分野では共有された考え方を基に、科学が進んでいきます。そしてその進展は、パラダイムが有効である限り進みます。
しかしそのパラダイムによる進展は、あるとき限界に突き当たります。もはや本質的な進歩はできないとまでも考えられます。しかし誰かが、あるいはある集団が、古いパラダイムと違った新しい考え方を提供します。それは最初は無視されたり、わからないと敬遠されたりしますが、その重要性にその分野の研究者たちが徐々に気づき始め、徐々に多くの人に共有されていきます。そしてそれが新しいパラダイムとなり、その分野は新しくまた発展を続けていきます。これがパラダイムシフトと言われているものです。
パラダイムシフトの例を具体的に挙げて見てみましょう。
ニュートン物理学から相対性理論へ
近日公開
ニュートン物理学から量子論へ
天動説から地動説へ
多くの人にとって、天動説から地動説の転換が、パラダイムシフトのわかりやすい例になるでしょう。天動説(正しくは地球中心説)から地動説(正しくは太陽中心説)への転換を見てみましょう。
東京一極集中が東京中心の限界を示すのではないかという考えについて
古代の学者プトレマイオスが集大成した天動説は、コペルニクスが地動説を発表するまで1000年の長きにわたってヨーロッパの天文学者に受け入れられ、非常に精密に修正され、それ以上の進展はないと思われていました。ところがコペルニクスは地球が宇宙の中心ではなく、太陽が宇宙の中心であるという説を提出しました。
もし天文学が地球が中心であるというパラダイムのままに進んでいたら、今の宇宙の研究はあり得なかったでしょう。コペルニクスの考え方は、太陽が太陽系の中心であり、そして太陽は広大な宇宙の中の一恒星に過ぎないという、現在は子供でさえ知っている宇宙の基礎知識につながっていきますが、地球中心説ではそのような展開は起こりえません。
規模は違いますが、私は戦後作り上げられた東京中心説が、今や限界に来ており、その限界を多くの日本人が知ることによって未来は開けるのだと感じています。